治験

治験(ちけん)とは、医薬品(もしくは医療機器)の製造販売に関して、その承認を得るために行われる臨床試験のことです。治験によりその薬剤の有用性が証明されないと世の中に新薬として登場することはありません。ですから治験は新薬開発にはどうしても必要な過程です。わたくしは現在まで多くの、アルツハイマー病や筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病などの神経疾患に関する治験を行ってきました。特にアルツハイマー病はその患者数も多く、増加してきており、その治療法の開発は急務です。しかし、世界的に見ても15年以上新薬が出てきていない状況であり、是非とも新たな新薬開発に貢献したいと考えています。

現在アルツハイマー病に使用が認められている薬剤は、以下の4種類です。

ドネペジル(商品名:アリセプト)
ガランタミン(レミニール)
リバスチグミン(リバスタッチパッチ、イクセロンパッチ)
メマンチン(メマリー)

これら4種類の薬剤のうちドネペジルを除く3種類の治験に参加し、開発に協力しました。またレビー小体型認知症に唯一認められているドネペジル(アリセプト)の治験も参加しました。また残念ながら最終的に薬効を証明することが出来ませんでしたが、これら以外の多くの治験も実施してきました。

治験では必ず、偽薬群が作られます。偽薬群とは効果の無い物質で作られたにせの薬(偽薬)を投与されるグループです。このグループに入ってしまうと、結果的に新薬は投与されていないため患者にとっては治療のメリットがあまりありません。しかしこのグループがあることにより新薬の効果を証明できるわけです。ですから、治験の参加に関してはもちろん新しい薬の効果への期待もあると思いますが、次世代に対する新薬開発の研究に協力するというボランティア精神が期待されます。先ほども述べましたがこの過程を経ない限り新しい薬剤は誕生しないことをご理解いただきたいと思います。現在行われる治験では通常このようなグループ(偽薬群)を30%から50%作ります。そのことを治療が行われないのではないかと不安に思われる方もいらっしゃると思いますが、一般の診療で行われる治療は行った上で、新たな薬剤の効果が検討されますので、偽薬群になったとしても通常の治療が行われないわけではありません。また多くの治験では、二重盲検期(偽薬群が存在する治験)が修了した後、長期試験として全員に実薬を投与する試験が追加で行われます。

現在当院で実施している治験

  • 軽度認知障害から軽度認知症のアルツハイマー病患者に対するアミロイド抗体薬治験を行っております。
  • 軽度認知障害のアルツハイマー病患者に対するタウ抗体治療薬治験を行っております

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