もの忘れや認知症の患者の当院での通常の診療の流れをご紹介します。
初診時
①フェイスシート作成:認知症の診断や治療を考える上でその経過やまた現在の症状、合併症などを詳細に聞き取る必要があります。そのため当院では、初診時に当院で作成した「フェイスシート」と呼ぶ用紙を係のものが作成します。
②診察:同日、フェイスシートをもとに、医師が「神経学的な所見」を診察し、認知症の背景にある病態を推定していきます。多くの場合MRI(通常「稲毛病院」に依頼します。当院のすぐそばです)や高次機能検査(当院の臨床心理師が担当します。なるべく同日の診察後や、あるいは次回診察の前に行い、受診回数を減らします)が必要になりますので予約を行います。また認知機能の低下は合併症や薬剤でも生じますので一般的な採血などを行います。初期のアルツハイマー型認知症の治療に用いられるアセチルコリンエステラーゼは徐脈等を誘発することがあるので心電図を取ることもあります。(①と②は同じ日に行われます)
再診時
③2度目の診察:MRIなどの画像所見、高次機能検査による認知機能障害の程度、採血結果等を総合し、診断を付け、その内容を説明します。場合によってはこの時点でも診断が難しい場合もあります。その場合には、脳血流SPECTやMIBG心筋シンチあるいはDatScanと呼ばれる放射線同位元素を用いた検査を追加します(通常、「千葉東病院」に依頼します)。総合的に判断し薬物治療が必要と判断された場合、アリセプト等のコリンエステラーゼ阻害薬は徐脈等の副作用がまれに生じますので、前回、心電図の検査をしていない場合は心電図検査をおこなってから投薬を開始します。また、患者家族に対して、生活や対応法に関しての指導を行います。
④3回目以降の受診:副作用が生じていないかのチェックを行います。生活状況や対応に対するアドバイスや精神療法を行います。アリセプト等の薬剤の認知機能に対する効果は服薬後3ヶ月から6ヶ月の間に生じてくることが多いので、6ヶ月後前後に評価を行うことになります。画像検査に関しては月単位での変化は生じませんので、症状が大きく変わることなどがなければ、数年に1度行えば十分です。