レビー小体型認知症

病因
レビー小体型認知症は、「レビー小体」という異常な構造物が神経細胞内に認められる疾患で、確定診断には病理解剖が必要です。認知症の中でも、脳血管性認知症などの他の疾患が原因になっているものを除くとアルツハイマー病に次いで多いとされています。しかし、臨床症状での鑑別が難しく、見逃されている患者が多いと考えられます。

症状
認知症の患者の中で
a) 注意や覚醒レベルの変動を伴う認知機能の動揺
b) 現実的で詳細な内容で、繰り返し現れる幻視
c) パーキンソニズムの出現
d) レム睡眠行動障害
を示すことが重要な特徴です。また抑うつや不安感が多くの患者に見られます。そのほかに睡眠時の異常行動や自律神経障害としての失神、排尿障害などを伴うことも多くあります。初期にはアルツハイマー病に比べ記憶障害が乏しい割に、精神症状が強いことが特徴です。そのため、介護者の訴えに比べ、認知機能検査などでの機能低下が軽いために、認知症と認識されていないことも多くあります。
 上記の症状のうち「レム睡眠行動障害」という言葉はなじみがないと思います。通常、夢を見ている状態では、眼球は素早く動いています(rapid eye movement, REM)。しかし、全身の筋は弛緩しているため動かすことはありません。レム睡眠行動障害ではこの状態の睡眠で体の筋が動く状態になっています。そのために暴れたような状態になったり、大声を出したりします。夢を見ている状態ですので本人は「夢だったのか現実だったのかがわからない」というような話をすることがあります。

診断
診断は基本的に臨床症状でなされます。検査として有用なものとしてはMRI(アルツハイマー病に比べて萎縮が軽度なことが多い)、脳血流SPECT(後頭葉の血流が低下する)、DaTScan(脳内のドパミンの機能低下)、MIBG心筋シンチ(心臓の取り込みが低下する)、脳波などがあります。

治療
唯一、ドネペジル(アリセプト)の使用が認められてます。幻覚や妄想に対しては認知症の周辺症状(BPSD)と同様に抗精神病薬が用いられることもありますが、これらの薬剤に過敏(副作用が出やすい)であることが知られており、これらの薬剤の投与は慎重に行う必要があります。またこれらの症状に抑肝散が用いられることもあります。